前2回に渡って、エンテロウイルスD68(以下EV-D68で表示します)の症状や予防法について調べてきました。今日は日本国内に照準を絞って、その流行経緯や症例等を調べてみたいと思います。
国内では、どのように流行してるの?
EV-D68の2005年から以降の日本国内における流行は2010年と2013年を除く2014年までは毎年数例の報告しか上がっていませんでした。ところが2010年には129例、2013年には122例と、100例を超える報告があり、近年は検出数が増加している傾向にあるようです。一番最近の報告では、2015年10月15日現在の検出数として63例と言う数字が上げられています。
麻痺が残るエンテロウイルスD-68 流行のおそれ 感染研 | ハザードラボ https://t.co/XnEPFWslUo #hazardlab @hazardlabさんから pic.twitter.com/EbuHt4psVp
— Matsuo (@e_stepmm) 2015, 10月 29
具体的な症例は?
ここ近年、EV-D68の検出数は増加傾向にある様子です。
ちなみにいくつか症例を上げてみますと、下のようになるようです。
●2010年9月 広島
10ヶ月の男児。夏風邪に似た症状を発症して医師の診察を受けたところ、滲出性扁桃炎(しんしゅつせいへんとうえん)と診断される。病因としてEV-D68に疑いを持ち検査をしたところ、ウイルスが検出された。
●2011年11月 広島
12歳1ヶ月の男児。初診は小児科医で気管支炎と診断される。マイコプラズマ肺炎の疑いを持たれたため、同日に再検査をしたところEV-D68が検出された。
●2013年10月 広島
5歳6ヶ月の女児。夜間救急病院に腹痛と意識障害で来院した後、緊急入院となった。症状として、前日より咳嗽(がいそう)と鼻汁が見られた。入院中に喘息の発作を起こして、呼吸不全の症状が現れた。後日の検査によりEV-D68が検出された。
●2013年11月 広島
2ヶ月の男児。咳嗽と鼻汁、さらには無呼吸発作という状況で総合病院に入院。血液、検尿、髄液の臨床検査を行ったが有意な所見が認められなかった。その後さらにウイルス分離を実施したところ、EV-D68が検出された。
以上は2010年から2013年におけるデータなのですが、この中でも手足に麻痺が残った症例があったようです。なお、2015年9月には東京都で4例の報告があり、さいたま市でも8例のEV-D68検出があった様子です。
エンテロウイルスD68 広島と埼玉ですでに流行か? 広島県やさいたま市ではエンテロウイルスD68型の感染が疑われる、まひを起こした患者の症例が報告されているが、広島市内で… 埼玉のニュース https://t.co/4bZcklHVbP #埼玉
— NewsSaitama (@NewsSaitama) 2015, 10月 30