現在の日本国内では、健康保険法により健康保険が適用された「保険診療」と保険適用前の「自由診療」の並行使用を原則禁止(混合医療の禁止)としています。この法律によって、だれもが平等に必要な医療を受ける権利が守られており、価格も抑えられています。
また、健康保険法は医療の安全性を守る役割も担っており、新しい医療技術や医薬品は厳しい国の審査に合格しなければ健康保険の適用外とされてしまいます。
もしもTPPによって混合医療が解禁されることになると、医療の平等性や安全性が失われていく懸念があります。
ただし、現状の日本において混合医療が解禁になることは、法改正を行う必要もあるために考えにくいのですが、アメリカの強い市場開放の要求もあり、今後は日本の医療制度が変化していく可能性は高いと思われます。
<安保法制に隠れて…>
【事実上の「混合診療」解禁】
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来春スタート「患者申出療養」とは?
TPPで「薬価」高騰 皆保険が事実上崩壊
米・医療保険を売り込み…
@iwakamiyasumi @uchidashoko
— 斉羽 (@bianconoce) 2015, 11月 3
日本にアメリカの保険会社が参戦!
TPPの正式名称は、日本国内で言われているのは「環太平洋パートナーシップ協定」ですが、国外では「環太平洋戦略的経済連帯協定」です。ここで「戦略的」という言葉が入っているのは、「戦略的ビジネス」または「投資目的」を行うための経済協定という意味にとらえることができます。
つまりTPPとは、「投資家がビジネスで利益計上できるような仕組みを環太平洋の国々でやろう」という取り決めで、日本の医療もその標的になっていると考えられます。
上でも少し書きましたが、日本の医療制度についてアメリカは強く干渉しています。その内容を具体的にすると、「混合診療を解禁し、薬や診療の上限をなくす」ということに集約されるようです。
仮に自費診療の分野が増えて、なおかつ薬や診療の上限がなくなると、患者は天井知らずの医療費を負担しなければならなくなります。すると一部の患者は、そのための保険加入を考えるようになります。つまり、ここにビジネスチャンスが生まれるのです。
TPPにより海外企業の参入がし易くなっているので、アメリカの保険会社がどんどん進出してきます。彼らはすかさず医療保険の勧奨を行い、しっかり利益上げていくのです。
医療がどんなに進歩し、安全で質の高い医療サービスを受けられるようになったとしても、TPPで皆保険制度が破壊されてしまったら、治療のためにアメリカのように高額の民間保険に入るか、それが出来なければ病気になっても病院にすら行けなくなる。貧困層には医療の進歩の意味が無くなる。 #TPP
— 中林 香 (@kaokou11) 2015, 11月 7
TPP参加による医療のメリットとデメリット
上で少し怖い話を書いてしまいましたが、最後にTPPによる医療のメリットとデメリットをまとめておきたいと思います。
TPPによる医療のメリット
TPPにおける医療のメリットは、すでに海外で承認されている医薬品や医療機器が安価で輸入できるようになることです。医療機器の多くは、その開発時に多大なコストをかけて製作されているので非常に高価です。従来はそれに関税がプラスされていたので、さらに高価なものになっていました。
しかしTPP参加でその関税部分がなくなれば、医療機器の価格は下がります。すると患者が負担する医療費が下がり、国民医療費の抑制につながっていくと考えられています。
TPPによる医療のデメリット
ただし海外で承認されているとは言っても、その全てが日本人にとっても安全かどうかは不明です。人種における差異もありますし、医薬品の効き目や副作用については非常に気になるところです。仮に安全性が確認できないままに海外産医薬品の流通を許してしまうと、深刻な被害が出る可能性も考えておかなくてはいけません。