お腹が痛い。吐き気がする。など腹部の異常は、日常の食べ過ぎや、呑み過ぎで経験する症状のひとつと言えます。
しかし、中には盲腸「虫垂炎」に罹っている場合も。
では、盲腸になった場合、どのような症状が出るのでしょう。盲腸の位置は、右の下脇腹です。痛むのは脇腹？
ちょっと調べてみました。
盲腸=虫垂炎の初期症状は？また、原因は？
盲腸は、医学的な言い方では、虫垂炎（ちゅうすいえん）と呼ばれます。
一般的には盲腸炎。ご存知の方も多いと思いますが、罹患率は、15人に1人。
近親者にも案外数人の人を思い浮かべられる病気です。
原因は、今のところ完全には、わかっていません。
虫垂の入口が腸の中の異物が詰まり、虫垂の内圧が上昇し、血行が悪くなり細菌などに感染し、急性の炎症が起るとされています。
初期症状はどのようなものでしょうか
はじめは、上腹部やおヘソの周りが、突然痛くなり、次に発熱を起こします。
通常37度から38度の微熱が続きます。
意外にも、盲腸のある右脇腹は未だ痛くない。
食欲不振、吐き気、嘔吐。
数時間から24時間で吐き気は治まります。
徐々に痛みが右下腹部に移っていきます。
右の腹部を押して、離すと痛みが酷くなる。
虫垂炎の特徴ではありますが、すべての人が、同じ経過をたどる訳ではなく、約半数の人に限ります。
腹痛と、発熱、嘔吐を繰り返す場合は、早めに医師の診断が必要です。
初期症状で39度以上の高熱が出る場合も
虫垂の炎症が、悪化して虫垂自体に穴が空いて、腸内の炎症原因物質がお腹の中にまき散らされると、腹膜炎と言って非常に危険な状態になります。
こうなると命の危険もありますので、手術によってお腹の中を洗浄することになります。
通常の虫垂炎なら、炎症を薬物でちらす方法や、盲腸の部分を切除る方法がとられます。
三段階の症状を持つ虫垂炎
一口に、虫垂炎と言っても状況はさまざま。治療法も変わってきます。
先ず、カタル性（粘膜の軽い炎症）、蜂穿織炎性（全層の化膿性炎症）、壊疽性（虫垂壁全層の壊死）と三つに分類されます。
カタル性が一番軽い症状で薬物療法が可能です。
それ以上の重い症状が、峰穿織炎性、壊疽性。
昔は、虫垂炎と診断されれば、ほとんどが外科的手術を行いました。
しかし、最近では、薬物療法が進み、カタル性の場合は、内科的な処置「抗生剤」で「虫垂炎をちらす」方法がとられるようになりました。
薬物だけの処置で済めば、体への負担は軽く済みます。
しかし、薬物療法の場合10〜20％の割合で再発が確認されています。
カタル性以外は手術を行います
医師の触診と血液検査、エコー検査を経て、虫垂の炎症の腫れ（1センチ以上）が認められれば、手術となります。
お腹を切る開腹手術の他に、腹腔境手術があります。
お腹を切ってする手術の手術痕を見たことのある方も多いと思いますが、症状が重い場合は、傷が大きくなる場合もあります。
お腹の中に膿が溜まって腹膜炎にまで病状が進んでいれば、それなりの処置がなされると言うことです。
専門的な手術方法は、ここでは書きませんが、手術の手技は症状により医師が判断します。
また、腹腔鏡は、小さな穴から炎症部分を切除するだけですから、回復も早く2〜3日で退院も可能です。
どの処置にするかは、症状を踏まえ医師の説明を受けましょう。
発熱、吐き気、嘔吐がある場合早めの処置を
どちらにしても早めの受診がさまざまな結果を最善の方向へと導いてくれることは確かなようです。
体に異常を感じたら、早めに医師の判断を仰ぎましょう。
お勤めをしていると、時間やスケジュールで病院に行くことが難しい場合もあるでしょうが、うまくすれば、2〜3日で回復出来る病気なので多忙な方ほど、健康管理を怠らない習慣が必要です。
小さな子供の場合も、同じく発熱や嘔吐を繰り返す場合は、素早く医師の診察を。
小さな子供は、案外熱に強く、高熱があっても親が気づきにくい場合があります。
平素から子供の顔色をチェックし、おでこを触り体温のチェックを心がけましょう。
まかなか気が付けない虫垂炎
人の話しを聞くと、案外と病院に行ってから、自分が虫垂炎だったと言う人が多い気がします。
熱や吐き気の病状は、風邪に似ている気もします。
下手をすると命に関わる虫垂炎に。
熱があるときは、出来るだけ医師の診断を仰ぐ習慣が必要だと感じます。
医師の触診で判断
誤診が多いのも特徴
虫垂炎は、約10％ほどの誤診があるそうです。女性の場合、卵巣や子宮外妊娠、骨盤内炎症疾患など。
次に腸の病気があります。盲腸の近くの大腸ガンなど。
子供では、急性腸間膜リンパ節炎と誤診が多いよう。
私の両親は虫垂炎の経験者 しかし
私の家族構成は、両親と姉、私の4人家族でしたが、両親は、虫垂炎の手術を受けたり、ちらしたりしています。
特に父親は、幼少期、終戦直後に虫垂炎から腹膜炎になり、高熱と痛みで死の淵まで行ったと聞かされています。
医師が手術した時には、腹膜炎を起こし、お腹の中が大変なことになっていたそうです。終戦直後には、抗生物質は、貴重品で通常では手に入らず、家族は幼い父の死を覚悟し枕元で祈ることしか出来なかったと聞いています。
しかし、運良くGHQのドライバーをしていた父の兄が、闇市で抗生物質を買うことが出来て父は命拾いしたのです。
母も戦時中、虫垂炎をちらして治しています。
戦時中は、国内に薬はほとんどなく簡単な病気で亡くなる人も多かったようです。
しかし、姉が虫垂炎に罹ったとき、吐き気と熱で酷く苦しんでいたのに、我が両親は、不覚にも自分たちが罹った病気に苦しむ娘を一晩中、手を付けられず虫垂炎であると気づくことが出来ませんでした。
いろいろ調べてみると、初期症状は人それぞれなので素人が判断するのは、難しいのかもしれません。
吐き気と熱、腹痛などを感じたら
腹部全体やみぞおちに疼痛を感じ、次第に右下腹部に移動して、吐き気、嘔吐、発熱を認めた場合、虫垂炎の可能性が否定出来ません。
そして、これまでご紹介した症状は、虫垂炎の特有の症状でもありません。
しかし、他の重篤な病気の可能性もあります。どちらに転んでも、急を要する病気が隠れているやも知れません。
判断の難しい虫垂炎。吐き気や発熱がある場合は、早めに病院へ行くことをおすすめします。
