前回はTPPの成り立ちや、参加におけるメリットやデメリットを簡単に調べてみました。
今回はもう少し焦点を絞って、TPP参加によって「農業」がどのように変化するのかを調べてみたいと思います。
TPP農業への影響は?
まず、我が国がTPPに参加すると、日本国内に外国企業の参加が容易になります。もしもTPPの取り決めで労働法や他の法律が変更された場合、日本国内に外国人労働者が働ける場所が増えてくることになります。
現在の日本は高齢化社会であり、農業の働き手である若者の数が減っています。つまり、そこに外国人労働者が入職できる隙間があるのです。
安倍総理大臣はTPP総合対策本部の初会合で、「農林水産業については、『守る農業』から『攻めの農業』に転換し、意欲ある生産者が安心して再生産に取り組める、若い人が夢を持てるものにしていく。万全の対策を講じていく」と述べました。
総理の言葉をもう少し具体的にすると、「利益追求型の集落営農組織、もしくは外国企業が経営する農業法人が活動し易い土壌が増え、改正された労働法等を利用して安い外国人労働者を使い、人件費を節約して利益を計上する方向へ向かうようになる」ということになるのではないでしょうか。するとその結果として、潤う集落営農組織と、衰退する個人農家の差が顕著になってくると予測されます。
また、TPPにより海外との流通がし易くなれば、日本農業法人の海外進出や日本の商社等の指導による海外集落営農組織の立ち上げが増え、海外で安価に生産した農作物が輸入されてくることが考えられます。


【TPP】野菜・果物の影響を発表 値下がりするのはキウイやじゃがいも、メロン、いちご、トマトなど : お料理速報 https://t.co/oTZlbeNcc8 pic.twitter.com/2o9WeG5YmJ
— お料理速報 (@oryourisokuho) 2015, 11月 7
TPP参加における農業へのメリット・デメリット
現在のところ、TPPの参加について農業部門からの反対意見が多いことは事実です。TPPは「戦略的」という意味合いを持っているため、海外からの勢力に負けて日本の農業が危機的状況に陥るのではないか、と心配されているのです。ところが逆に日本側から攻め込むことで、日本の農業が今まで以上に利益を上げることができるチャンス、と言う声も聞こえています。
そこでTPPへの参加による農業へのメリット・デメリットを、簡潔にまとめてみました。
メリットとして考えられること
●日本の農作物は味や安全性において信頼度が高いため、安価な外国産農作物が流入してきてもその優位性は揺らがないし、逆に海外からの需要が伸びて生産を増やすことができる。
●これまでにも安全性が確認されてきた外国産の農作物商品は、関税が撤廃されることで安価に輸入され、消費者がさらに利用しやすくなる。
デメリットとして考えられること
●安価な農作物が流通することで個人農家の衰退が予測され、食糧自給率が下がる可能性がある。
●安全性に不安がある農作物が流通することになると、消費者に被害が及ぶ危険が高まる。


JA長野県が、TPP による長野県農業への影響を発表(信濃毎日全面広告7日)。長野県の名産・リンゴの産出額は4割116億円減、豚肉は7割減、肉牛6割減…衝撃的な数字です。地域経済も深刻な打撃を受けるでしょう。TPP の調印許すな! pic.twitter.com/UTmX1OqPi3
— 山口のりひさ (@yamaguchijcpngn) 2015, 11月 6