最近新聞やニュースの経済欄を賑わす言葉に「環太平洋パートナーシップ協定」がありますね。英訳をTrans-Pacific Partnership、略してTPPと言うのですが、日本国内のニュース等で良く使われているのは主にこちらの名称です。
ただしTPPの呼び名にはもう一通りあるのはご存じだったでしょうか? そちらの名称はTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementと言いまして、これを日本語に訳すると「環太平洋戦略的経済連帯協定」となります。のちに「農業」や「医療」のところで述べますが、名称に「戦略的」と入ることは重要な意味を持っています。ただし現段階では、どちらも同じ協定をさす名称と考えておいてください。
そもそもTPPとは?
さて、そもそもTPPの発端は、2006年にシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4カ国間で結ばれた、比較的小規模の経済連帯協定である「P4(パシフィック4)」でした。ところが2009年にアメリカが参加表明したことをきっかけに、このP4が変化を始めます。アメリカの参加後、そのあとを追うようにオーストラリア、ペルー、ベトナムも相次いで参加を表明すると、2010年にはマレーシアも参加すると言うように飛躍的な広がりを見せるようになりました。なお、日本の事実上のTPP参加表明は2013年2月23日で、翌月3月15日にはTPP交渉の正式参加を行っています。
この大量の文書の中に、気になる内容が差し込まれていた。1つ目が、農作物について、7年後に再協議をするというもの。2つ目は、自動車について、アメリカ、カナダに有利な特例があるというもの。日本にとって、不利な条件となるかもしれない。
https://t.co/EPzDgrdCh7
— TPP交渉差止・違憲訴訟の会 (@tppikenn) 2015, 11月 7
TPPって、どんなことをする協定なの?
TPPの役割は、アジア・太平洋地域における経済の自由化を進めるためのルールを構築するものです。ただし、これまでに経済の自由化の目的で結ばれていた他の協定と異なるのは、物品の自由化を目的とするだけでなく、サービスや投資、知的財産や金融関係、電子取引までもその範疇に含めていることです。この点がTPPの新しいところであり、注意を要するところでもあるのです。
TPP参加のメリットとデメリット
TPP参加のメリットとして、下のことが考えられます。
●関税の撤廃によって貿易の自由化が進み、日本製品の輸出額が増大する。
●整備、貿易障壁の撤廃により、大手製造企業は企業内貿易が効率化して利益が増える。
●グローバル化を加速させることにより、GDPが10年間で2.7兆円増加する見積である。
上とは逆に、TPP参加のデメリットとしては、下のことが考えられます。
●海外の安価な商品が流入することにより、デフレが引き起こされる可能性がある。
●関税撤廃により米等の安い農作物が流入し、国内産業に大きなダメージを与える。
●食品添加物、遺伝子組み換え食品、残留農薬等の規制が緩和されることで、安全性に不安がある食品が流入してくる。
●医療保険の自由化・混合診療の解禁により、国保制度が圧迫されて医療格差が広がる。
以上が、ごく簡単ですがTPPについて調べたところです。このあとは、TPPへの参加によって、日本の農業や医療がどのように変化していくのかを、調べていきたいと思っています。
TPPは幕末に日本が欧米に強要された不平等条約よりひどい。日本の輸入品の95%で関税が撤廃され、野菜や果実、水産物の多くが無税で輸入される一方、日本の自動車の関税が撤廃されるのは25年、トラックは30年後。今生きてる人間の半分は、その頃死んでいるよ。食料危機が起これば餓死するね。
— 高野敦志 (@lebleudeciel38) 2015, 11月 7