働き方いろいろ。「アルバイト」と「パート」の違いは?社会保険や有給など正社員との比較



働き方も多種多様になっている昨今ですが、
それに伴い、雇用形態の定義が
難しくなっているのも実情です。

今回の記事では
「アルバイト」と「パート」
について触れてみたいと思います。

shigoto_tekipaki

【両者のメリット・デメリット】

「アルバイト」・「パート」という雇用形態において、
どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

<メリット>
・勤務時間を自由に選べる
・転勤が無い
・残業に応じるか否かは自由

<デメリット>
・有給休暇が現実的に取りにくい
(※法律上は認められています)
・社会保険は労働時間・期間により異なる
・交通費支給の有無が企業により異なる
・ボーナスは無い場合が多い

雇用の安定性に関しては、
有期雇用という形態であっても

雇用期間が5年を超えた場合に
無期雇用への転換が可能

――となることがあります。

では、正社員と比較して
待遇には、どのような違いがあるのでしょうか。

【正社員との待遇の違い】

仕事内容が同じでも待遇が異なってきます。
「はたらこねっと」さんのサイト内コンテンツを
参考にさせて頂き、列記してみました。

isogashii_woman
例:「オフィスワーク」での違い

<正社員の場合>
時給:1,300円程度(月収22万円)
昇給:年に1回
転勤や異動:企業の決定次第では有り得る
残業:20時間程度
休日:完全週休2日制で夏季・冬季休暇あり
ボーナス:賞与が年に2回・表彰制度あり

<アルバイト・パートの場合>
時給:1,000円(月収例17万6千円)
昇給:ごくわずか
転勤や異動:なし
残業:ほぼ定時で帰宅できる
休日:勤務先のカレンダーによる
ボーナス:なし

building_kiosk
例:「ショップ販売」での違い

<正社員の場合>
時給:1,200円程度(月収23万円)
昇給:店長になれば昇給や待遇が上がる
ノルマ:高く設定されている
残業:多めでサービス残業となる場合もあり
休日:基本的に土日祝は休むことができない
他店へのヘルプ:セールの時期は他店舗へ行く場合がある

<アルバイト・パートの場合>
時給:1,300円(月収例22万8千円)
昇給:ごくわずか
ノルマ:設定がある場合とない場合とがある
残業:ほぼ定時で帰宅できる
休日:シフトを選ぶことができる
他店へのヘルプ:他店舗に行くことはない

denwa_business_woman
例:「コールセンター」での違い

<正社員の場合>
時給:1,300円程度(月収24万円)
昇給:年に1回
ノルマ:個人目標・チーム目標が有り
残業:10時間程度
休日:完全週休二日制
研修:座学による研修・実務研修がある

<アルバイト・パートの場合>
時給:1,200円程度(月収21万1千円)
昇給:ごくわずか
ノルマ:なし
残業:1なし
休日:週2日から可能
研修:実務研修のみがある

では、「アルバイト」・「パート」として働く場合、
保険制度や有給休暇等、雇用環境は
どのような仕組みになっているのでしょうか。

syorui_yomu_woman

【パートタイム労働法における両者の違い】

平成27年4月1日に
「パートタイム労働法」が改正されました。

パートタイム労働法は、パートタイム労働者がその有する能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働者の納得性の向上、正社員との均等・均衡待遇の確保、正社員への転換の推進等を図ることを目的としています。

(引用元:http://part-tanjikan.mhlw.go.jp/parttime/index.html

この労働法における「パートタイム労働者」とは
パート・アルバイト・臨時社員・準社員等
呼び方に決まりはなく、

「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」

(引用元:http://part-tanjikan.mhlw.go.jp/parttime/index.html

とされています。

均等・均衡待遇の確保の促進の項目内では
「短時間労働者」という言葉も使用されています。

<短時間労働者の待遇の原則>

短時間労働者の待遇について、通常の労働者の待遇との相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないと規定。

(引用元:http://part-tanjikan.mhlw.go.jp/parttime/index.html

パートタイム労働法においては、
アルバイトとパートという労働形態に関して
明確な違いは見受けられない印象です。

【アルバイトとパートは非正規社員?】

アルバイト・パートは
契約社員・派遣社員と同様に

期間を定めた雇用契約のもと、
正規社員よりも短時間で働く社員を指す
「非正規社員」とみなされるようです。

非正規社員であっても、一定要件を満たすと
社会保険(健康保険・厚生年金保険)や
雇用保険への加入が必要となります。

これらへの加入は会社や社員の任意ではなく
一定要件を満たした時点で強制加入となるのです。

しかし、個々の会社によって分類が異なることや
加入要件を満たしているにも関わらず、
会社が手続きを行われていないということも。

何より「非正規社員」の定義は法律上において
明確に記されていない
のが現状です。

こうした現状も相まって、
アルバイトとパートという雇用形態の違いが
曖昧になっているのかもしれないですね。

leader_man

【アルバイト雇用と労働基準法】

アルバイトの方にも「労働基準法」が適用され、
労働時間・休憩時間・残業・有給休暇・解雇等の
項目が定められています。

分かりやすくまとめられている
「ひらく・ナビ20」サイトさん内から
以下に引用させて頂きました。

労働時間:1日8時間以内、週40時間以内と定められています。

休憩時間:労働時間により休憩時間を与えることが会社に義務づけられており、労働時間が6時間を越える場合 ⇒休憩時間は45分以上 。労働時間が8時間を越える場合 ⇒ 休憩時間は60分以上 です。

年次有給休暇:労働基準法の定めるところにより、6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上働いた労働者には、継続し又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません。(6箇月間8割以上の出勤で10日の有給休暇を付与)

解雇:客観的に合理的な理由のない雇用期間途中での解雇は無効です。解雇が正当でも、30日前に予告、もしくは30日分の賃金を支払わなくてはなりません。

(引用元:http://www.hiraku-navi20.jp/layer3/a01_01.html

また、アルバイト業務上の事由や
通勤の際に発生した災害についても
労災保険が適用され、補償が受けられます。

その他、所得税・住民税といった税金に関しては
年収103万円までの場合は非課税とされています。

補足事項:
学生の場合は「勤労学生控除」により
27万円が上乗せされ、合計130万円まで
所得税がかからないとされています。

一方で、雇用環境はどのように作られているのでしょうか。
ここでは職務分析・職務評価について
取り上げてみたいと思います。

【職務分析・職務評価とは?】

厚生労働省の
「パート労働ポータルサイト」では
職務(役割)評価の一つ「単純比較法」に関して

「職務分析・職務評価実施マニュアル」

を作成しています。

正社員・正職員などを指す
通常の労働者と比較し、

「職務内容が同じ」
「人材活用の仕組みや運用などが全雇用期間を通じて同じ」
「契約期間が無期または反復更新により無期と同じ」

といった条件を満たす際、
「通常労働者と同視すべき」と見なされ、

パートタイム労働者であることに対し
差別的な取扱いを禁止する措置が講じられます。

その他にも
「人材活用の仕組みや運用などが一定期間は同じ」
「職務の内容は同じで、人材活用の仕組み等は異なる」
――といった場合、

実施義務や配慮義務といった
措置が講じられます。

パートタイム社員が納得した上で
能力を発揮できる職場環境作りのため

こうした職務分析・職務評価の実施を
促す動きもあるようです。

補足事項:
職務(役割)評価の手法は

(1)単純比較法
(2)分類法
(3)要素比較法
(4)要素別点数法

――の4種類があります。

eieiou_man

【筆者の考え】

様々な働き方が可能になった今日ですが、
待遇の差や分類方法が複雑化し、
働く人に不満が生まれる要因に繋がるように感じます。

しかし、働き方に幅が広がることは
その人が持つ能力に応じ、活躍する場が増え、
多くの人にチャンスが巡ってくるなど、

「働く」という世界に
大きな広がりが持てるのではないかと、
想像を巡らせる次第です。

[参考]

一般財団法人 雇用開発センター
「ひらく・ナビ20」
http://www.hiraku-navi20.jp/layer3/a01_01.html

ディップの派遣情報
「はたらこねっと」
http://www.hatarako.net/contents/hikaku/?prelink=rc_alltop

厚生労働省
パート労働ポータルサイト
http://part-tanjikan.mhlw.go.jp/

あなたにオススメのコンテンツ