腹痛は、緊張やストレスによる精神的な原因でも起きます。経験したことが一度もない人は、珍しいのではないでしょうか?今回は、おへその下が痛む腹痛の原因とその対処法についてご紹介します。
下痢を伴う痛みは消化不良かも
この症状で、まず考えられるのが消化不良です。
原因:冷え、ストレス、暴飲暴食などから腸が消化不良を起こしている状態です。
痛み、下痢、発熱、嘔吐の症状は「腸炎」かも
腸炎の代表的なものとしては、急性腸炎と感染性腸炎があります。症状としては痛みの他に下痢、発熱、嘔吐があります。
原因:サルモネラ菌、大腸菌O-157、カンピロバクターなどの細菌や、ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルスに感染
急性腸炎の症状は突然現れます。「胃腸風邪」感染性腸炎とも呼ばれています。
ウイルスが胃に入ることで発症する「ウイルス性胃腸炎」と細菌が胃に入ることで発症する「細菌性胃腸炎」の二種類があります。
感染経路:主に二つの侵入経路があります。
1つ目は、腐った食べ物や、汚いところに置かれた食品を食べたことにより、細菌が体内に侵入するケースです。夏場や湿気の多い場所などは要注意です。
2つ目は、感染した人の咳や嘔吐した後から空気中に漂う菌やウイルスが体内に侵入する場合です。
●食あたりとの見分け方
食あたり症状が似ているために違いが分かりにくいという人もいますが、一般的に食あたりの時は、吐き気を強く感じる場合が多く、胃腸風邪は、腹痛を強く感じることが多いといわれます。
●急性腸炎「胃腸風邪」になったときの対処法
消化の良い食事と水分補給
脱水症状にならないように、こまめに少量ずつ水分補給をしましょう。食欲が湧いてきた時は、消化に良いうどん・おかゆなどがおすすめです。また、胃に負担がかからないように、よく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。冷たすぎるものや熱すぎるものは、胃腸の負担になるのでなるべく常温に近い状態で摂取して下さい。
下痢止め、吐き気止め用の薬は服用しない
胃腸風邪をなるべく早く治したいのであれば、なるべく薬は飲まない様にすることをオススメします。
下痢止めや吐き気止めを飲むと症状は治まって楽になりますが、菌やウイルスを対外へ排出できません。まず、体内に侵入したウイルスや細菌を体の外に出すこ必要があります。
おへその下に激痛が、押すと痛い場合は「虫垂炎」
おへその下の痛みがあり、特に押すとひどくなる痛みや吐き気、発熱などがある場合には虫垂炎が考えられます。
症状は、おへその下、上、みぞおちのあたりが突然激しく痛みます。さらに数時間後には痛みはおへその右下に移っていくのが特徴として現れ、押すと痛みがひどくなります。
食欲不振や吐き気の症状もあり、37度から38度の発熱があります。
虫垂炎は自然治癒することはありません。まずは病院に行きましょう。
*放置すると、慢性化したり腹膜炎になり死にいたる可能性もあります。気をつけてください。
おへその痛みと濃が出て悪臭がするなら「尿膜管遺残症」の疑いが
そのほかの症状としては、発熱もみられます。
原因:膀胱から腹部の正中を通ってへそに向う管「尿膜管」の炎症によるものです。
対処法は外科手術で尿膜管を取り除きます。再発や癌の原因になる可能性があるので、症状が出たら早急に対処が必要です。消化器外科や泌尿器科で受信して下さい。
突然の激しい腹痛や嘔吐、お腹の張りは「腸閉塞」かも
腸が詰まった瞬間に突然キリキリ強い腹痛が起こります。しばらくすると収まりますが、また激しい腹痛という流れを繰り返す事もあります。
腸閉塞の場合、おなかが張っているので腸の動きが見える事もあります。
原因:外部から腸が圧迫されたりねじれたりする場合や、手術時の癒着が原因の場合もあります。また、食べ物や消化液の流れが滞り、それらが腸に詰まった状態が原因で発症する場合もあります。その他、大腸がんの腫瘍や、便秘が原因で発症します。
対処法は、一般的には鼻から腸にチューブを入れ、閉塞部分より上にたまった物質を抜き取った後、水分とナトリウムなど電解質を静脈に点滴し、嘔吐や下痢で水分と電解質(水に溶けると電気を通す物質「イオン」のこと)を補充します。腫瘍や癒着が原因の場合は手術で原因となる物質を除去します。消化器内科で受信して下さい。
慢性的な下痢と便秘の繰り返し異常な便通「過敏性腸症候群」
この症状はしつこいのですが、調べてみると腸に異常がないケースがほとんどです。
不規則な食生活や睡眠不足など生活習慣、ストレスなどによる自律神経の乱れが原因で、腸の運動機能に異常が現れます。
対処法は、規則正しい生活習慣、なるべくストレスためないように心がけます。日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合は、整腸剤など投薬治療を、また精神的な原因の場合は、抗不安薬、抗うつ薬が有効なこともあります。消化器科、内科、または心療内科で受診して下さい。
下腹部や胸、腰の痛みが出ればPMS(月経前症候群)
もちろん、女性に対しての症状ですが、生理開始日からだいたい1週間前~生理前日頃の間に、イライラや不安感などの精神的症状が出る人も多くいます。
症状が重い人もいますが、生理がきた途端に治まってしまうのが特徴です。
対処法としては、無理をせず、ゆったりとした気持ちでストレスをためないように心がけましょう。
入浴やアロマ、音楽鑑賞など、香りや耳といった五感で楽しめるものもストレス解消になりますよ。また、入浴や食事の時に身体を温めると筋肉が緩み、痛みを起こす筋肉の収縮が少なくなります。どうしても我慢できない痛みには、薬に頼ることも必要です。ただし、飲みすぎは胃を荒らしますので注意して下さい。
子宮周辺の痛みがあれば子宮筋腫
女性特有の病気ですが、決して珍しい病気ではなく40代以降の女性では4人に1人の割合で筋腫をもっているそうです。この筋腫はどんどんと大きくなってくると、神経を圧迫し痛みを感じます。
子宮筋腫の治療法は、「経過観察」「薬物療法」「手術療法」の方法があり、子宮筋腫のできている場所や大きさ、腫瘍の数、出ている症状、患者の年齢などの状況を考え、一番適切だと思われる方法で治療を進めることになります。
まとめ
おへその下の痛みが原因の病気は、ほかにも・尿路結石、・卵管炎、・卵巣のう腫、・潰瘍性大腸炎などがさまざまな病名が考えられます。軽い症状でも数日続くようなら、専門の医師に診断治療してもらいましょう。早期治療が快復の最短コースです。